応分の負担 2019 6 22

2019年6月22日の時事通信社には、このようなニュースがありました。

 中東ホルムズ海峡付近のタンカー攻撃事件から1週間余り。
アメリカ・イランの軍事的緊張が高まる中で、
防衛省は攻撃の詳細について情報収集を進めるとともに、
アメリカの動向を注視している。
 現状では海上自衛隊は派遣しないが、
事態がさらに悪化すれば、護衛艦がタンカーをエスコートするシナリオもあり得る。
(中略)
 タンカー事件後、ポンペオ国務長官の発言が自衛隊関係者の関心を呼んでいる。
事件から3日後のFOXテレビ出演や、
18日に中東を管轄するアメリカ中央軍を訪問した際に、
ホルムズ海峡の航行の自由に依存し、経済的利益を得ている国として、
中国、韓国、インドネシア、日本の国名を繰り返し挙げたからだ。
 「自国の経済に与える真の脅威を理解すべきだ」と対イラン政策に同調を求める一方で、
「ホルムズ海峡を経てアメリカに輸入される原油はごくわずかだ」とも語っている。
 アメリカの軍事専門誌「ディフェンス・ニュース」(電子版)によると、
アメリカ軍制服組ナンバー2のセルバ統合参謀本部副議長も、
「われわれは、ホルムズ海峡の航行の自由と石油の移動を確保する国際的責任を果たしてきたが、
それは、アメリカだけの問題という意味ではない」と、「ただ乗り」にくぎを刺している。
(引用、以上)
 日本の国防とは、日本周辺だけではありません。
日本のタンカーが通るシーレーンも、日本の国防の範囲です。
 私は、2003年から繰り返し訴えてきましたが、
日本は、かごの中の鳥をやめるべきであるということです。
 確かに、かごの中に入っていれば安全でしょうが、
アメリカ、中国に次ぐ経済大国が、それでよいのか。
 もはや、「日本は商売に専念して、安全保障はアメリカに丸投げ」という時代は終わったのです。
日本は、国土とシーレーンを自力で守り、
どうしても守り切れなくなったら、アメリカが駆けつける。
これが「普通の国」のあり方です。
 世界には、貧しくして、まともな軍隊を持つことができない国が多数あります。
そういう国をアメリカは守るべきで、
日本のような「超大国」をアメリカは守る義務はないのです。
 日本は、世界最大の債権大国です。
わかりやすい言葉で言えば、「世界最大の金貸し」です。
何でもかんでも、お金で解決しようとするのは、間違いです。
 お金を出すから、日本のタンカーを守ってくれ。
これで、アメリカ兵が死んだら、日本はすべてを失います。
信用を築くのは数年もかかるが、信用を失うのは一瞬である。

8800億円の請求書 2014 11 30

書名 アメリカはいつまで超大国でいられるか
著者 加藤 英明  祥伝社新書

 アメリカ人が、著者に、こう尋ねた。
「アメリカが中東の石油を必要としなくなったら、
今は、ペルシャ湾の自由航行を護るために、
第5艦隊を張りつけているが、撤収することになるね。
年間80億ドル(約8800億円)も、かかっている。
 アメリカが第5艦隊を引き揚げたら、
日本が、その後を引き受けてくれるかね?」
(以上、引用)
 アメリカでは、シェール革命により、
世界最大の「産油国」になることが有力視されています。
そうなると、ペルシャ湾に大艦隊を駐留させる理由がありません。
 さあ、日本は、どうする。
海上自衛隊の大艦隊をペルシャ湾に駐留させるのか。
それとも、毎年、必要経費をアメリカに支払うのか。
 もちろん、サウジアラビアも、
アメリカが第5艦隊を引き揚げたら、大いに困ることになるでしょう。
 なにしろ、ペルシャ湾を挟んで、
中東の軍事大国であるイランと対立しているからです。
 サウジアラビアは、人口が少ないので、
どう頑張っても、軍事大国になることはできません。
 もちろん、ひとつだけ方法があります。
サウジアラビアが、核兵器を開発するか買うという方法があります。
 ただし、核兵器を開発するにしても、買うにしても、
ハードルが高いものとなります。
 そうなると、サウジアラビアと日本は、
ペルシャ湾をめぐって、お互いに軍事同盟を必要とする国になりますか。
 アメリカは、シェール革命がなくても、
「あんな危険なところから引き揚げたい」というのが深層心理でしょう。
 アメリカは、世界最大のキリスト教国です。
聖書の最終章には、恐ろしいことが書いてあります。
どう読んでも、人類にとって「最終的な戦争」は中東で起こると読めます。
 こうした聖書を子供の頃から読み聞かされてきたアメリカ人にとっては、
中東の石油を必要としなくなったら、早く引き揚げたい気分でしょう。

































































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